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「やりたくない」の裏にあるもの|繊細な子が疲れる“環境”と娘の特性

小3繊細っ子。「やりたくない」の裏にある気持ち
hinata

前回の記事では、職業体験イベントでの娘の様子をまとめました。

繊細な子の職業体験|大好きな職業体験なのに、寝込むほど疲れた日


キッザニアではあんなに楽しんでいたのに、今回はほとんど何もできなかった。
何故?とたくさん考えました。

そこには「やる気の問題」ではなく、繊細な子にとっての環境との相性が関係していました。

今回は当日の様子をもとに、
どんな環境が娘を疲れさせたのか、そしてそこから見えてきた娘の特性について整理してみます。

同じ「職業体験」でも、環境はまったく違っていた

キッザニアだけでなく、他の職業体験イベントでも、娘はいつも楽しそうでした。
予約制で流れが分かりやすく、スタッフのサポートもあり、親の姿も近くにある。
安心の中で“できる自分”を発揮できていたのだと思います。

一つひとつの体験がコンパクトで、待ち時間も明確。
娘にとっては、安心できる“見通しをもてる世界”でした。

一方、今回の職業体験は、すべてが自由。
どの仕事を、いつ、どこで体験するか。
すべて自分で決める形式で、
案内のアナウンスもありません。

待ち時間は小さくホワイトボードに書かれているだけで、見づらく分かりにくい。

人気の仕事は長蛇の列で、どこに並べばいいのかも曖昧。
どのスタッフに声を掛ければ良いのかもわかりません。

「子どもの自主性を育む」ことが魅力のイベントだったはずなのに、
娘にとってはその自由さが“迷子になる原因”になっていました。

職業体験イベントで、不安そうにウロウロと歩き回る小学校3年生の娘。

同じ「職業体験」でも、安心できる環境かどうかで、
娘の表情はまったく違いました。

安心の中では挑戦できるけれど、
見通しのない自由の中では、一歩が出なくなる。


今回の出来事は、その対比をはっきりと見せてくれたように思います。

「やりたくない」の正体は、“わがまま”ではなく“防衛”

当日、娘は何度も「やりたくない」と言いました。
その言葉の裏には、ただの“わがまま”や“気分”ではない理由がありました。

娘にとって、あの会場は不安の多い環境でした。
見通しのない空間、人の多さ、知らないスタッフ。
「どこで、何を、どうすればいいのか」が分からない状況の中で、
娘の脳はずっと“緊張モード”のままだったのだと思います。

一見、何もしていないように見えても、
頭の中では常に「どう動けばいいか」を考え続けていた。

その結果、心も体も疲れ切ってしまったのです。

そして「やりたくない」は、
「これ以上、無理したら壊れそう」という心からのSOS
だったのだと思います。

繊細な子の防衛反応

繊細な子は、環境の刺激を強く受けやすいです。
外の刺激や人の表情に敏感で、
「感じ取る力」が強い分、脳の情報処理も多くなりがちです。

同時にたくさんのことを読み取ってしまうため、
見通しのない場所ではどんどん疲弊していきます。

そんなときに出る「やりたくない」は、
“これ以上は無理”という心のブレーキ。
行動を止めることで自分を守ろうとする防衛反応です。

大人が「もう少し頑張ればできる」と思う場面でも、
本人の中ではすでに限界に近いことがある。

「やりたくない」と言葉で伝えられること自体、
“自分を守る力”の表れでもあります。

無理をさせたくないけれど、挑戦もしてほしい

親としては、「せっかく来たんだから」「少しでも経験を」と思うもの。
私も今回はそう思い、娘に無理を言ってしまいました。

入場料が高かったし、家から遠いイベント会場にわざわざ来たのに…
という気持ちがありました。

でも、焦っても上手くはいきません。

今までも何度か職業体験をしてきたのだから
と期待もありました。

同年代の周りの子達が楽しそうにしている姿を見て、
「娘も飛び込めばきっと楽しめるはず」と思ってまったのです。

職業体験イベントで、会場に入り不安そうな小学校3年生の娘。

けれど、娘は繊細っ子。
繊細な子にとっては、“挑戦の前に安心”が必要です。

繊細な子ほど“期待を感じ取る力”も鋭く、
「ママをがっかりさせたくない」「悲しませたくない」と、無理をしてしまうことも多い。

無理に挑戦すると、“拒否”が起こります。
それが娘の体調不良として表れたのだと思います。

私も、あのとき早めに「もう帰ろう」と言ってあげればよかったと、反省しています。

安心があれば、挑戦できる

繊細な子にとって大切なのは、“挑戦の前に安心”。
安心できる環境があってこそ、挑戦へのエネルギーが生まれます。

職業体験で好きな仕事ができて嬉しそうに笑う小学校3年生の娘。


安心がないまま無理に動こうとすると、
心はブレーキを踏み続け、「やりたくない」が強くなる

娘の姿を見て改めて感じました。

“やる気”を引き出す前に、“安心の土台”を整えること。
安心できない場所では、無理に挑戦させない。
ときには、諦めることも大切。

繊細な子にとって、それが何よりの成長の第一歩なのだと思います。

こだわりの強さも関係していた

そして今回の職業体験では、娘の「こだわりの強さ」を改めて感じさせられました。

一度決めた予定や順番を変えるのが苦手で、
「やりたいことしかやらない」という面もあります。

時間や流れを自分の中で組み立てることで安心し、
その通りに進めないと落ち着かないタイプ。

今回のように予定が読めない環境では、
そのこだわりが不安を強める原因にもなっていたのだと思います。

以前からなんとなく、
「もしかしてこだわりが強い?」「固執してる?」と感じることはありましたが、
今回のことで娘の傾向をよりはっきり意識しました。

けれどそれは、悪いことでも頑固さでもなく、
自分の感覚を大切にしている証拠でもあります。

まとめ

娘の「やりたくない」は、やる気がないのではなく、
不安の中で自分を守るための反応でした。

そしてその背景には、
「見通しを持ちたい」「自分の流れを大切にしたい」という
こだわりの強さも関係していました。

安心できる環境では力を発揮できるのに、
見通しが持てない環境では、心がブレーキをかけてしまう。

そんな娘の姿を通して改めて感じたのは、
“やる気を引き出す前に、安心の土台を整えること”。

繊細な子にとって、それが挑戦への第一歩であり、
その子らしく成長していくためのスタートなのだと思います。

▷ 続き:「こだわりが強い」って悪いこと?|娘の“見通しへの安心”を考える

ABOUT ME
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Hinata
IQは高いけれど見えない困り感を抱えた発達凸凹の姉弟を育てています。 子どもがもともと持っている力を、ゆっくり引き出す子育てを心がけています。
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